Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
三
「おまえ酔いすぎてるぞ」
「だからどうだっていうの」
今日はおかしな日だ、と得石は思った。おくにがへんなことを云うかと思うと、ここではまたおかねが絡みだす、用心しないとなにが起こるかわからないぞ。そう思ったので得石は声をやわらげた。
「よく考えてごらん」と彼は云った、「おまえが万清楼にいたとき、私はおまえを見込んだ、この女なら料理茶屋の女主人を立派にやってのけるだろうし、女房にしても恥ずかしくはない、そう見込んだからこそ」
「ああたくさん」おかねはまた手を振った、「それももう聞き飽きたわ」
三
「そのから証文に騙されて、今日まであなたのいいようにされて来た、面倒なこの店の切り盛りから、めかけの役まで勤めて、身に付いた物は着物が四、五枚に帯が二本きり、それでいざとなればお払い箱なんだから」おかねは無遠慮におくびをした、「めし屋の女中をしたっても少し稼ぎになったわ、ばからしい」
「その話はまたにしよう」得石はがまん強く云った、「時が来ればこの店はおまえのものになるのだし、いまの女房とは必ず別れる、私はおまえといっしょになり、ここを住居にして水谷町へかようことにする」