Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
三
おしのはがまん強く、子供をなだめるような調子で云った、「こんどはよっぽど大事にしなければいけない、店に置いてはだめだから、寮のほうへ移してゆっくり養生をさせるようにって」
「いやよ、いいえだめよ、そんなこと」
三
「おっ母さん」とおしのが云った。
「そんなことだめよ」おそのは脇のほうを向き、すぐにまた向き直って、娘の眼をみつめながら云った、「あんただってわかってるでしょ、そんなこと云ったって当人がきやあしないわ、たとえ医者に死ぬとおどかされても、あの人は店をはなれるような人じゃないことよ、そうでしょ」
おしのは母の顔を見まもった。
「そらね、あんたの眼を見ればわかるわ」とおそのは眼を細めて微笑した、「あんたあの人が承知しないものだから、あたしにすすめさせるつもりで呼びに来たんでしょ」
「お父つぁんは」とおしのが云った、「おっ母さんの云うことならきっときいてよ」
「そんなことをあたしが嬉しがるとでも思ってるの」
「お願いよ、おっ母さん」おしのは母の手を握りながら云った、「こんどは本当に危なそうなの、こんどだけでいいからうちへ来て、寮で養生するように云ってちょうだい、ねえ、一生のお願いよ、おっ母さん」