Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

四

「約束した物――」

「貸金の証文、みんな持って来てみせるって約束なすったでしょ」

「ああそうか」

女中のおときが酒を持って来、「二階へお移りになりますか」と訊いた。おみのはかぶりを振って、もう少し経ってからと云い、女中は出ていった。

「今日はいそがしくって」と得石は燗徳利を持ちながら云った、「平松町のほうへ寄る暇がなかった、この次にはきっと持って来ますよ、まあ一つ」

「いや」おみのは上半身でいやいやをし、得石をにらんだ、「約束を守って下さらなければ頂きません」

「この次は必ず持って来ますよ、必ず、誓って約束を守りますから、とにかく一つ受けて下さい」

四

「しかし貴女という人はふしぎな人だ」得石は酔いのために軽くなった口ぶりで、口髭を舐め舐め云っていた、「むさし屋のかみさんとのことも知ってるし、海石のことから平松町の豊島屋のこと、豊島屋で小金貸しをやらせていることまで知ってるんだから、――まったくこっちは、首の根を押えられたようなこころもちですぜ」

「そんなことあたりまえよ」おみのは盃の酒を杯洗にあけて彼に差した、「一生添いとげる相手ですもの、女なら誰だってその人のことを知りたいと思うわ、ことに先生のような、女にもてる方はね」