Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

伊勢屋の娘ともっとも親しかったのは、そのむさし屋の娘だったという。――彼はいそぎ足になり、かいぞく橋の袂で辻駕籠をひろうと、八丁堀へいそがせた。

組屋敷へ帰ると、同心の井田十兵衛を呼んで、「むさし屋」親子の検屍をしたのは誰だったかしらべさせた。そして、定廻りの内村伊太夫だとわかると、すぐにその住居を訪ねていった。内村は酒を飲んでい、まず一と口つきあえとすすめたが、千之助は断わって用件を述べた。

「ああ、あれはよく覚えている」相当に酔ってはいたが、役目のことになるとさすがにしゃっきりとした、「――危篤の病人はともかく、丈夫な妻と娘が焼け死ぬというのはおかしいので、かなり念入りに調べてみた」

「死躰はどんなだった」

「すっかり焼けて、三人とも殆んど骨だけになっていた」と内村が云った、「医者にも立会わせたが、二躰は男と女、もう一躰は小柄で、骨の質が明らかに若い、それで娘のものだということにきまった」

「骨になるほど焼けることがあるだろうか」

「油のためだったと思う、現場はひどく油臭かったし、納戸に燈油がだいぶしまってあったようだ、しょうばいは薬種問屋だが、油屋も兼業していたからね」