Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
へ着いたときにはもうすっかり昏れて、家並はすっかり灯がついていた。――その船宿は佐久間町の河岸にあり、さして大きくはないけれども、階下に六帖と八帖、二階に小座敷が二つあり、佐吉はその一つで待っていた。
彼は弥太という中年の船頭を相手に、もうかなり飲んだとみえ、膳の上に燗徳利は一本だが、首まで赤くなっているし、言葉の調子も平生とは違っていた。
「いらっしゃいまし、暫くでございます」弥太は坐り直してお辞儀をした、「ええ覚えておりましたとも、あれは名月の晩でございましたかな、その節はたいそう頂戴いたしまして、ええ、ずっとお待ち申していたんでございます」
おしのは佐吉を見た。
「支度はできてます」と佐吉が云った、「あんまり冷えるもんですから、ちょっと頂いていたところですが、すぐ、いらっしゃいますか」
「そうしましょう」とおしのは云った。
弥太はけいきよく立ちあがり、「では炬燵を入れておきましょう」と云って、階下へおりていった。佐吉は膳の上の盃を取った。
「川へ出ると冷えます、寒さ凌ぎに一ついかがですか」
「さっきの話のあとを聞くわ」
「船で船で」佐吉は手を振り、自分で酒を注いで飲んだ、「だって、そのつもりで船になすったんでしょう」