Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
幸い冬だから、そう早く死躰の匂うようなこともないだろうが、念のために香をつよく※(「火+(麈-鹿)」、第3水準1-87-40)き、火鉢には煎薬を掛けた。――夕方になると、おしのは勝手へゆき、重湯を作るからと云って、ゆきひらへ米を取り、自分でそれを洗った。
「夕飯にはなにをあがりますか」とおまさが訊いた、「これから買物にいって来ますけれど」
「なんでもいいわ」とおしのは答えた、「いいようにしてちょうだい」
そして、おまさが出てゆくと、殆んど入れ違いに母が帰って来たのだ。おしのは気がつかず、香炉にまた香を加えていると人のけはいがし、「ひどい匂いだこと」と云うのが聞えた。おしのはすばやく立ってゆき、襖をあけてみると、おそのが若い男ともつれ合って、立っていた。
――菊太郎だな。
おしのはその四帖半へ出て、うしろ手に襖を閉めた。男は小柄な躯つきで、それが女のようにしなしなしてい、気取った媚のある身ぶりで、おそのの塵除け合羽を脱がしてやっていた。二人とも相当に酔っているとみえ、合羽を脱ぐにもよろめきあって、なかなかうまくゆかないのであった。
「まさや」とおそのが云った、「ちょっと来ておくれ、いないのかえ」