Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
第一話
一
店のほうもしらべられたが、結局はっきりした事情は不明のまま、死躰は親子三人のものときまり、五日めに本石町の家で三人の葬式がおこなわれた。そしてそのあと、親類や縁者たちが集まって相談し、「むさし屋」ほどの老舗を潰すのは惜しいということになって、分家に当る亀屋伊兵衛の二男で、伊四郎という者が養子にはいり、喜兵衛の跡を継ぐことになった。
第一話
一
喜兵衛の病状が悪化したのは、十二月二十七日の夜のことであった。
暮六つに店を閉めてから、夕食を済ませたあと、番頭と二人の手代を相手に、帳合をするのが店のきまりで、そのときは歳末が近づいていたため、地方との取引先の分もあり、十一時過ぎになって、ようやく一と区切りついた。
おしのはいつものとおり、女中二人に指図して、九時に茶菓を出してから、父と自分の夜具の並べて敷かれた部屋へいって寝る支度をした。火鉢の火かげんをみて灰をかけ、煎薬の土瓶を仕掛けた。その脇の盆には、湯呑茶碗と布で掩いをした金盥、金盥には水がはいってい、たたんだ手拭が五枚重ねてある。おしのはそれらをよくしらべ、また、父の寝衣が三枚出してあることも慥かめた。