Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
十
「あんたにはわからないのよ」
「これをあんまりだとは思わなくって」とおしのは構わずに言葉を継いだ、「お父つぁんが働きどおしに働いたのは、おっ母さんのせいじゃないでしょ、お父つぁんは自分が養子だからと思って、むさし屋大事に働いただけでしょう、でも、それならなおさら、おっ母さんはもう少しお父つぁんを良人らしく扱ってもよかった筈よ」
十
「あんたはまだ若いの」とおそのが云った、「あんたにはわからないことがあるのよ」
「ええそうでしょう」とおしのは遮った、「あたしにわからないことがたくさんあるのは知ってるわ、けれどもおっ母さんがお父つぁんにして来た仕打ち、ことに三年まえお父つぁんが病気になってからの、おっ母さんのして来たことが善いか悪いかぐらいはわかってよ」
「あんた誰にものを云ってると思うの」
「暮のことはどう」とおしのはやり返した、「お父つぁんが血を吐いて、こんどは危ないって云われたから、ごしょう一生のお願いだって迎えに来たんじゃないの、おっ母さんはあさってゆくって約束したわ、約束したこと覚えてるでしょ」
「あんたがしつっこく云うからよ」
「ちゃんと約束したのにお父つぁんが危篤だっていうのに、おっ母さんはあんな子供のような人を伴れて、箱根へ遊びにいったんじゃないの」