Japanische Klassiker mit Furigana
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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
Lesen Sie 何が私をこうさせたか (なにがわたしをこうさせたか) von 金子 ふみ子 (かねこふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.571 Zeichen · 383 Bildschirme
若い車夫が梶棒を静かにおろして私に言った。
「すみませんが新聞を二、三枚くれませんか」
「はい、何を差し上げましょうか」
「いや、何でもいいんです。残っているものを何でも……」
要らないのに同情して買ってくれるのだなと私は思った。新聞も渡さずに私は相手の顔を見まもった。
相手は学生帽をかぶっていたが、徽章を白い紙で捲いて隠していた。これもやはり自分と同じ苦学生でなければならない。
自分も苦学をしているのだという一種のヴァニティーも手伝って私は急に元気づいた。
「あなた学校へ行っていらっしゃるんですね、ねえ、そうでしょう。どこなの学校は?」
相手はしかし、ただ笑っているばかりで何とも答えなかった。私が二度三度繰り返して訊ねたとき、やっとその男は答えた。
「あなたと同じ学校の、同じクラスですよ」
「ええ? 同じ学校の、同じクラス?」と私は驚いてきき直した。
「そうです。あなたは気がつかなかったかも知れませんが、僕はとうからあなたを知っていました。あなたが学校でよく居睡りをしておられるので、てっきりこれは苦学生だなと僕は思っていたんです。そして、ちょいちょい僕はここで、あなたの夕刊売りの様子を拝見していたんです」