Japanische Klassiker mit Furigana
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かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme
むやみに小さな声を出す。まなこを凝らして見ていると、大きな渦が一つ、するすると本流の方へ流れ出して、その後が油のようにトロリとする瞬間、キラリと蒼黒い魚が二匹、底に近く姿を現わす。北沢は急いで竿を動かし、蚊針を魚のいる方へ近づける。又、渦が来て、スイスイと針を押し出す。
「駄目じゃないか。」
「ああ。岩魚を釣るなあむつかしい。」
「君は今迄に釣ったことがあるのかい。」
「無いだ。」
「そんなとこへ針を下して釣れるのかい。」
「これでいいずら。石川さん釣って見るかね。」
「かして見な。」
今度は私が針を下したが、中々喰いつかぬ。近くまで来たと思うと、ひょいと逃げる。針が流されて了う。
考えて見るとどうも蚊針なるものを深淵に沈めて魚をつるとは変である。元来が蚊の形をしている針だから、水面をヒョイヒョイやっている内に、これを蚊と間違えて魚が飛びつくのではあるまいか。私は立ち上って岩を下り、流れに近く立った。ザブザブと白い水沫を飛ばしている瀬にフワリと針を投げる。面白いようにピョンピョン跳るが、魚は一向飛びつかぬ。
同じ釣れないのなら、魚の顔が見えた方がまだ面白い。私はもとの岩に帰った。