Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme
私は寝間着のまま廊下に出た。硝子戸をくって物干台に出る。霜を踏む。寒い空気が身体をとりまく。それ等のみの故にもあらず、私は異常な緊張を感じて、骨の髄まで身を震わせた。蓮華、爺、鹿島槍、五龍……とのびて、はるか北、白馬の鑓にいたるまで、折からの朝日を受けて桜色というか薔薇色というか、澄み切った空にクッキリと聳えているではないか。里の時雨は山の雪、その雪は恐らく金曜日の夜から始まって土曜日一日降りつづけ夜半に至って止んだのであろう。降ったばかりの雪、それも高い山の、煙も埃もない空気を通じて降った雪である。何が清浄潔白だと言って、これほど綺麗なものはあるまい。
しばらくしてから私は、真赤な足と真赤な手と――恐らくは真赤な鼻とを部屋に持ち帰った。いつの間にか炬燵に火が入っている。もぐり込んで、身震いしながら考えた。面白くない、下らない日を送っては徒らに酒をのんで身体を腐らしている私に、万一ほんのチョビッとでも、いわゆる真善美を信じる心がありとすれば、それは一年に一度か二度接する山の、このような素晴らしい景色によって続けられつつあるのではあるまいか。
寒い国は朝が遅い。