Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うもんとりものちょう

右門捕物帖(三)

佐々木 味津三

Lesen Sie 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.558 Zeichen · 480 Bildschirme

Aozora Bunko

ちまたは春です。鐘は上野か浅草か、八百八町は花に曇って、浮きたつ、浮きたつ。うきうきと足が浮きたつ……。

「てへへ。参るほどに、もはや上野でおじゃる、というやつだ。歌人にはなりてえもんだね。ひとり寝るのはいやなれど、花が咲くゆえがまんできけり、というやつアこれなんだ。たまらねえ景色じゃござんせんかい。え! だんな?」

「…………」

「ちぇッ。またそれをお始めだ。世間つきあいてえものがあるんですよ、おつきあいてえものがね。みんなが浮かれているときゃ、義理にも陽気な顔をすりゃいいんだ。しんねりむっつりとまた苦虫づらをやりだして、なんのことですかよ。――よせやい。酔っぱらい。ぶつかるなよ。でも、いいこころもちだね。えへへへ。花は散る散る、伝六ア踊る。踊る太鼓の音がさえる、とね。――よッ。はてな」

ぴたりと鳴り音を止めて、ややしばしわが目を疑うように見守っていたけはいでしたが、とつぜんけたたましい声をあげました。

「いますぜ! いますぜ! ね、ね、ちょっと! お蘭しごきが二十本ばかり。大浮かれに浮かれていやがりますぜ」

おどろいたのも無理はない。ひとり、ふたり、三人、五人、いや、全部ではまさしく二十四人、その二十四人のお腰元たちが、丘を隔てて真向こうの桜並み木のその下に、加賀家ご定紋の梅ばち染めたる幔幕を張りめぐらしながら