Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
斑鳩宮
飛鳥の祈り
斑鳩宮
飛鳥の祈り
推古天皇の御代、上宮太子が摂政として世を治めておられた飛鳥の頃は、私にとって最も懐しい歴史の思い出である。私ははじめ史書によってこの時代を学んだのではなかった。大和への旅、わけても法隆寺から夢殿、中宮寺界隈へかけての斑鳩の里の遍歴が、いつしか私の心に飛鳥びとへの思慕をよび起したのである。海岸を思わせる白砂と青松、そのあいだを明瞭に区ぎっている法隆寺の土塀、この整然たる秩序を保った風光の裡に、千三百年のいにしえ、新しい信仰をめぐってどのような昏迷と苦悩と、また法悦が飛鳥びとをとらえたか。私は法隆寺の百済観音や中宮寺の思惟の菩薩に、幾たびかその面影をさぐってみた。頬に軽く指先をふれた柔軟な思惟像に彼らの瞑想の深さを偲び、或は百済観音のほのぼのとした清純な姿に法悦の高い調べを思ったりした。これらみ仏そのままの風貌で、飛鳥びとはこの辺を逍遥していたのであろうか。そこには永遠の安らいがあったに相違ない。はじめて法隆寺を訪れた頃は、私はこうした思いで心が一杯になり、夢中で斑鳩の址をめぐって歩いた。私の心にも漸く新生の曙が訪れそめた頃であった。