Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
法隆寺
初旅の思い出
この和讃を読んでいると、人世を渡るに拙い人の深い苦悩が浮び上ってくるようである。僕は現代人を対蹠的に考えてみた。保身術にかけては、現代人ほど巧みに素早いものはおそらく過去になかったであろう。時代苦や人生苦から、素早く身をかわす術に、実に熟達しているようにみえる。しかし鎌倉人は鈍重であった。時代苦に打ちひしがれつつ、滅びるかにみえて滅びず、苦痛の底を無器用に這いずり廻って、やがてのそのそと立ちあがる、おそろしくのろまでしかも強靱な力があったようだ。苦悩に対する持続的な忍耐力をもって、云わば心ゆくまで時代に傷ついたのだ。決して器用な世渡りなぞ出来なかった。堕ちたるものの呻きが、はじめて邂逅をよび、感謝と帰依に一切を見出すのは当然ではなかろうか。親鸞の和讃のごとき一種の相聞と云ってよい。「遇ひ難くして今遇ふことを得たり、聞き難くして已に聞くことを得たり。」(教行信証)といった邂逅の歓喜は、苦悩の長い漂泊なくては得られないであろう。美術の本をかかえて夢殿へ行くためには何の苦悩もいるまい。
――昭和二十年秋――
法隆寺
初旅の思い出
この数年のあいだ幾たびとなく法隆寺を訪れたが、はじめての日の印象ほど感銘ふかいことはなかったようだ。