Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
この前後は東大寺の性質もむろん変っていた。嘗ての総国分寺たる権威と、四天王護国寺たる理想はすでに失われ、その伝統と時勢はむしろ南都の位置を政治的権力たらしめていた。比叡山延暦寺の山法師、興福寺の奈良法師、所謂僧兵の兇暴ぶりは周知のとおりであり、事毎に争乱の渦中にあった。
そして諸国の源氏蜂起に際しては、清盛の日頃の専横に対し、奈良法師は公然の狼藉をもって示威したのであった。たとえば大きな毬杖の玉をつくって、これを清盛の頭になぞらい「打て、踏め」と云ってみたり、また奈良の伝統を尊重して、わざわざ武装せずに、狼藉を静めるべく赴いた瀬尾太郎兼康の郎党六十余人を搦めとって、一々首を斬って猿沢の池畔に懸けならべたり、僧兵大衆まことに殺気だっていたのである。これに対してむろん清盛も怒った。「さらば南都を攻めよや」とて、大将軍には頭中将重衡、副将軍には中宮亮通盛、都合その勢四万余騎で南都へ発向す。――この間の状景を最も見事に伝えているのは、云うまでもなく「平家物語」巻第五であろう。
南都の方では、大衆老少すべて七千余人が甲の緒をしめ、奈良坂と般若寺の二個所に防備を施してこれによったのであるが、もとより四万の軍勢には敵せず、夜に入って、二個所の防砦も破られ、多くはここに討死し、一部はなお抗戦しつつ次第に落ちて行った。