Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
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ところがそういう私も、はじめて救世観音を拝した頃は、ただ彫刻としてみようとする態度を捨てきれなかった。拝するというのではない。美術品として観察しようという下心で「見物」に行ったのである。むろん救世観音は一瞥にして私のかかる態度を破砕した。あの深い神秘はどこから由来するのか――美術的鑑賞によって答えられる問題でないことは直ぐわかった。しかし私は戸惑いした。信仰と歴史について思いをいたすことも浅かった。いきおい私は自分の文学的空想に溺れて行ったようである。
夢殿が修理中のため、その前の礼堂に安置されていた頃の救世観音について、私は嘗つて次のような印象を述べたことがある。
老僧はしずかに厨子の扉をひらいた。立ちあらわれた救世観音は、くすんだ黄金色の肉体をもった神々しい野人であった。瞳のない銀杏形の眼と部厚い唇、その口辺に浮んだ魅惑的な微笑、人間というよりはむしろ神々しい野獣ともいえるような御姿であった。静謐な姿勢をとっているが、どこかに兇暴な面影を秘めて、何かを懸命に耐えているような趣がある。正面から間近に御顔をみると悟達の静寂さは少く、攪乱するような魔術者の面影が濃い。