Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
殊に巨大であればあるほど。しかし立像と半倚像の美しさは言語に絶した魅力をもって私を圧倒した。わけても法隆寺金堂に佇立する百済観音は、仏像に対する自分の偏見を一挙にふきとばしてくれた。このみ仏の導きによって、私は一歩一歩多くの古仏にふれて行くことが出来たと云ってもいい。
はじめて法隆寺を訪れた日は、俄雨の時折襲ってくる日で、奈良の郊外は見物人も少くひっそりと静まりかえっていた。雨の晴間には、透明に高い秋空があらわれ、それに向って五重の塔は鮮かな輪郭を示していた。金堂の内も外もこの日は落着いてみえた。私は塔をみあげながら金堂の後を廻って、案内人に導かれつつ慎んで扉の内へ入ったのである。仄暗い堂内には諸々の仏像が佇立し、天蓋には無数の天人が奏楽し、周囲には剥脱した壁画があった。私はその一つ一つを丁寧にみようともせず、いきなり百済観音の前に立ったのである。橘夫人念持仏の厨子を中心にして、左側に百済観音、右側に天平の聖観音が佇立していたが、それを比べるともなく比べて眺めながら、しかし結局私は百済観音ただ一躯に茫然としていたようである。
仄暗い堂内に、その白味がかった体躯が焔のように真直ぐ立っているのをみた刹那、観察よりもまず合掌したい気持になる。