Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
私は政治的意味で云うのではないが、彼らは追放された人々であった。自分で自分を追放した人と云ってもよかろう。云うまでもなく彼らは古典を極めた人々であったが、何故殊更に極北の地へ向ったのであるか。心の旅として考えれば、人間の業の極まる処へ自ら求めて行った人のごとくにも思える。つまり天国をとらず地獄へ赴いたのだ嘗つては斑鳩の里も「極北の地」であった。そこに流された人生苦の血はいまいずくぞ。――明媚な風光と新式の宝蔵殿は一切を居心地のよい観覧地と化してしまった。これが人生の常なのかもしれないが、私にとっては何となく不安なのである。
大和古寺を巡るにしたがって、私の心に起った憂いとはつまりこうだ。代々の祖先が流血の址を見て廻るものの不安と云ったらいいか。何故こんなに多くの仏像が存在するのだろう。三千年のあいだ、諸々の神仏あらわれて、人々の祈りに答え、また美しい祈願の果の姿となって佇立している。かくも見事な崇高な古仏がたくさん列んでいて、しかも人間はいつまでも救われぬ存在としてつづいてきた。どちらを向いても仏像の山、万巻の経典である。古来幾百人の聖賢は人間のため道を説き血を流した。