Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
与八は片手に茶碗、片手に羊羹をいただいて、幾度もお礼を繰返す。
「与八さん、お前はずいぶん立派な体格ねえ」
「ええ、大くばかりあってこの世の穀つぶしみたようなものでございます」
「その身体では力もありましょうね」
「力ならたいがいの人に負けましねえ」
無邪気なる自負の色を浮ばせて、
「力ずくなら誰にも負けねえけれど、昨晩の泥棒みたようなすばしっこい奴には敵わねえ、幽霊みたようだ、そこにいたかと思うとスーッと消えてしまうだ、あんな泥棒はつかめえどころがねえでがすから力ずくにゃいかねえ、それでとうとう取逃がしてしまった」
与八、少々残念らしく見えます。
みどりのためには昨夜の泥棒は、虎口を救うてくれた恩人であります。この与八があの時、泥棒! と叫んでくれたればこそ、おかげで恥かしい目をのがれたものです。みどりはそれとは言わずに、話を別の方へ持って行って、
「あの、与八さん、お前のお国はどちら」
与八は羊羹を頬ばった口をゆがめて、
「俺が生れ土地はどこだか知らねえ」
「ホホ、生れ土地を知らないの」
「俺、棄児だからな、物心を知らねえうちに打棄られただから、どこで生れたか知らねえ」