Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「まあ、お前さんは棄児……」
「そうだあ、青梅街道というところへ打棄られて、人に拾われて育っただから、生れ土地は知りましねえ」
「かわいそうに。そうして、育てられたのは?」
「それはね、この玉川上水を二十里も上へのぼると沢井という所がありまさあ、その沢井の机弾正という先生に拾われて育ててもらったでがす」
「それでは多摩川の上の方。わたしも子供の時分、あのへんを通ったことがありました」
「そうかね、あの街道は甲州の大菩薩峠というのへ抜ける街道だ」
「大菩薩峠……」
「大菩薩峠というのは上り下りが六里からあるで、難渋な道だ」
「ああ、そうでござんす、あの大菩薩には猿がたんといて、峠の頂上には観音様のお堂がありましたなあ」
「お前様よく知ってござるが、あの峠を越したことがおありなさるのかえ」
「エエ、四五年前に」
「四五年前……それではやっぱり俺があの水車小屋にいた時分だ」
「与八さん、いつか一度あの大菩薩峠へ、わたしをつれて行って下さいな」
「あんな山奥へかい」
「わたしは、モ一ぺんあの峠へ行ってみたい」
「俺もお前様、ほんとうの話は、この頃こちらで奉公をしているけれども、やっぱり昔の山ん中がいいと思うからお邸を暇を貰い申して帰るべえかと思ってるところでがす」