Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「いかにも土方、惜しいものじゃ」

清川八郎は土方歳三をよく知っている、日頃一廉の人物と見ているところから、ここで島田のために斬られることが、自業自得とは言いながら惜しいと思うのも人情です。

二人が土方の噂をしている途端、

「おう――」

絶望の叫びで土方は島田のために太刀を打ち落されてたじろぐところを、犬の子を転がすように引き倒され、起き上ろうとした時は、島田の膝は背の上にさながら盤石を置いたようです。

「汝は何者じゃ」

「…………」

「名乗れ!」

「斬れ!」

「汝が主謀と見ゆる、血気に任せて要らぬ腕立て、心なくもこの島田に殺生させた、ここに枕を並べた者共もみな一廉の剣術じゃ、むざむざ犬死させて何と言訳が立つ、愚者め」

「一生の不覚、一生の不覚」

土方歳三は血の涙をこぼして、

「幼少より剣を学んで……御身ほどの達人を見分ける眼がなかったは……それが残念!」

島田虎之助はこの時、抑えた膝を寛めて、

「剣は心なり、心正しからざれば剣も正しからず、剣を学ばん者は心を学べ」

こう言いながら土方歳三の襟髪を取って突き放すと、よろよろと彼方に飛んでと倒れます。

三十二