Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「お前様が逃げ出すなら俺も逃げ出すから、一緒に逃げべえ」
「与八さん、お前が一緒に逃げてくれる?」
これはお松にとっては百人力です。こうして二人は、風儀の悪い旗本神尾の邸を脱け出す相談がきまってしまいました。
与八と、みどりとは、その晩、首尾よく神尾の邸を脱け出して、
「与八さん、どこへ行きましょう」
「沢井の方へ行くべえ、あっちへ行けば俺が知っている人がいくらもあるだ」
伝馬町を真直に、二人は甲州街道を落ちのびようというつもりでした。二人ともあまり地理に慣れないものですから、道を反対に取違えてしまって小石川の水戸殿の邸前へ出てしまったのです。
「こりゃ違ったかな、こんな坂はねえはずだが」
お茶の水あたりへ来た時に与八はやっと気がついて、
「何でもいい、行けるだけ行ってみべえ」
昌平橋と筋違御門との間の加賀原という淋しいところへ来ると、向うから数多の人と提灯、どうも役人らしいので与八も困って前後を見廻すと、ちょうど馬場の隅のところに屋台店を出しているものがあります。これを幸いに与八はみどりの手を引いて、屋台店の暖簾をかぶると、
「いらっしゃいまし、ずいぶんお寒うございます、この分ではまだ雪も降りそうで……」