Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
二度目に呼んだ時にお浜の耳に入りました。そのとき三度目の声。
「浜、浜」
竜之助の呼び声がこの時お浜にとって無茶苦茶にいやな感じを与えるのでありました。
お浜の返事がないので、竜之助は立ってこちらへ来るようでしたが、
「旅立ちのお仕度かな」
襖をあけるとそこへ突立ってこちらを見入っています。お浜はジロリとその面を見上げましたが、つんと横を向いて取合いません。
「浜、お前はどこへ行くつもりだ」
「存じません」
「まあよいわ、先刻お前から離縁の申し出があってみれば赤の他人……いや、まだ餞別に申し残しがあったのだ、よく聞いておけ」
竜之助は立ったなりで、
「おれは近いうちに宇津木兵馬を殺すぞよ」
「兵馬を殺す?」
お浜は膝を向け直す。
「うむ、兵馬を斬るか、兵馬に斬られるか……」
「それは――」
「まさか兵馬が小腕に斬られようとも思わぬ、毒を食わば皿までということがある、宇津木兄弟を同じ刃に……」
竜之助の蒼白い面に凄い微笑が迸る。
お浜は真正面からその面を見上げて、この時は怖ろしいとはちっとも思いませんでした。
「お殺しなさい――」
十
竜之助は自分で酒を飲んで早く寝込んでしまいました。