Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「そりゃどこの子だい、お前の子じゃあるめえ」
「俺の子じゃあねえよ」
「拾いっ子かい」
「拾いっ子だよ」
「ああお土産を持ってるな与八さん、そのお土産をここへ分けて行けよ」
与八は情けない面をして包みに眼を落しながら、
「こりゃお土産じゃねえよ」
この包みにはお浜の遺髪が入っているのです。
「太郎作さん、俺が水車は大丈夫かえ」
「ああ大丈夫だよ」
「水で突ん流されるようなことはなかったかい」
「うん、そんなことはねえ」
「さよなら」
与八はスタスタと出かけます。
御岳の山も沢井あたりの山も大菩薩の方も、眼の前に連なっています。与八はこれを見るとまた悲しくなって、そっと後ろの郁太郎を振返ると、子供は無心に寝入っている。ぼんやり立ち止まっては、提げていたお浜の黒髪を包んだ風呂敷に眼が落ちると、ひとりでに涙がこぼれます。与八は善いことをしては、いつでもそれが悪い結果になる。あれもこれもみんな自分が馬鹿だから。これからは罪滅ぼしに多くの人の追善をはかり、かたわらこの子を育て上げて立派な人にして申しわけを立てねばならぬ。与八には人を怨むという考えがなくて、一も自分が悪い、二も自分が悪いで通って行くのです。