Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「それでは強ってとめても悪い、帰るならお帰り」
「どうぞ、そうして下さい、その代り明朝は」
男は返事をしない、女は済まないような気分で立ち上りました。
女の亀山へ帰るというのを、男は涙を隠して廊下まで見送り、引返して、がったりと倒れるように、
「ああ、豊さんまでが……」
と言って、またハラハラ。
亀山へ帰ると言うて出たお豊は、しばらくするとなぜか戻って来ました。廊下を忍び足に、もとの室のところまで来ると、障子の外に立って中の動静に気を配るようでしたが、
「これまあ、真さん、お前は――」
障子押しあけ、飛びついた男の手には白刃がある。男は脇差を抜いて咽喉へ突き立てるところでした。
「こんなこともあろうかと、胸が騒いでならぬ故、立戻って来ましたわいな、さあ放して」
「豊さん……どうでもわしは死なねば……」
「そんな気の弱いことがありますものか、遺書まで書いて、危ないこと、危ないこと」
女は男の手から脇差をもぎ取って、
「いまお前が死んだら、親御たちや妹さんはどうします。わたしもこれでは帰れない、帰ることは止めにします。真さん、泊って行きます、今宵は泊めてもらいましょう、ゆっくり打明けて相談をしましょう、ね」