Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
兵馬は、これから一層、芹沢の一挙一動に注目することに決心し、今日も夕方、かの井村と、も一人の新参浪士をつれて芹沢が屋敷を出かけたのを、兵馬はそっとあとをつけて行きます。
彼らは本国寺の寺中へ入って行くから、兵馬は寺の門を潜らず、しばらく遠のいて、門の中を見張っていると、ほどなく井村と新参の浪士と二人は面の相好を崩して門を出て来ましたが、彼等は壬生へは引返さないで、本願寺裏手の方を四辺憚らず笑い興じながら島原口まで来ました。
これからは田圃――五六丁を隔ててその田圃の中に一廓、島原傾城町の歓楽の灯は赤く燃えております。
「やあ、あの灯を見ると胸が躍るわ。しかし我々共の楽しみは罪が浅い、隊長のはなかなか罪が深いのう」
井村のこの声がひとしお大きく田圃の中で響き渡ると、
「アハハハハ」
ふたり声を合せた高笑いで、あとはまた断続してよく聞き取れない。新参の浪人がふいと後ろを振返り、
「誰か来るようじゃ」
井村の耳に囁くと、歩みをとどめて、
「うむ、足音がする」
島原から一貫町までは人家がない、人が来れば見通しがつく。
「島原通いであろう、一番、嚇してみようか」
人を嚇してみるにはよいところ、朱雀野の真只中、近来ここでは追剥と辻斬とが流行る、遊客は非常な警戒をした上でなければ通らないところです。