Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
八
での咎は帰参が叶ったという勢いでありました。
八
島原の木津屋という暖簾のところへ、或る日のこと、百姓体の男が旅姿で、
「少々、お頼み申します」
これは裏宿七兵衛。
「お客さんか」
眉を落して、小緞子の帯を前結びにした三十前後の女が暖簾をわけて姿を見せ、
「どちらから?」
「これはちと遠方から参りましたもので、御雪太夫さまのお館はこちらでござりましょうか」
「はい、御雪様はこちらでありますが、あなた様はどなた」
「左様でござりましたか。私は関東の者でございますが、太夫様にちょっとお眼にかかりたくて上りました」
「お前様が、あの太夫様に? それは太夫様ご存じのことか」
「いや、お眼にかかって申し上げたいことで、案内も存じませぬ故、宿へ着きますると早速これへ参りましたようなわけで」
「阿呆らしい」
女は軽侮の色を現わして、
「太夫様が、知己のない方に、そう容易くお目にかかるものかいな、出直しておいでなされ」
引込んでしまおうとするのを、七兵衛は、
「あ、もし、太夫様にお眼にかかれぬならば、あの、お松と申す女の子が、このお家に御厄介になっておりまするとやら」
「お松――」
「はい、このごろ関東から上りました女の子」