Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「そうだ、井村、貴様は四条通りの菱屋という商人を知っているはずじゃ」
「菱屋? それがどうした」
井村が刀をつかんで気色ばむので、溝部もそれに加勢をするつもりで刀を取り上げて眼の色を変える。
兵馬も刀を取って床柱の方へ少しさがって、
「その菱屋へ、いつぞや三人の盗賊が入ったことがある、それについて君に聞きたいのだ、そう気色ばむな、穏かに話そうではないか」
「そんなことは知らん、俺は菱屋とやらの番頭でもなければ、盗賊の目付でもないぞ」
「誰も、君が菱屋の番頭だとも、盗賊の目付だとも言いはせん、ただその盗賊の身許を君に尋ねてみたまでじゃ」
「盗賊の身許を俺に?」
「そうだ、君が知らんというならば、その創に聞いてみたい、稽古槍の怪我か、真剣の創か、その創口に物を言わせてみれば、わかるはずである」
「怪しからんことを言う、余の儀とは違うぞ、盗賊呼ばわりは聞き捨てならんぞ」
井村は真赤になって刀の柄に手をかけると、兵馬はそれを制し、
「井村、抜く気か、それはよせ、君が抜けば拙者も抜く、溝部も抜き合わせるであろう、どのみち、どちらか怪我をする、ここの家を騒がせ、客人を驚かすに過ぎない、無益なことじゃ。