Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
まあ、刀は下に置け、そうして穏かに話そう」
「黙れ黙れ、盗賊呼ばわりをされては、俺は承知しても、刀が承知せん」
彼は溝部に眼くばせをする。兵馬は島田虎之助仕込みの腕である。隊の中で試合をしても、井村や溝部では歯が立たぬ。で、抜き合わせようとするのも半ば行きがかりの虚勢。兵馬は、つめ寄せた二人を見つめながら、
「そう喧嘩腰で出られては困る、君に覚えがなければ、何と言われても腹の立つことはないではないか。拙者も君の言うたことにつき合うて用もないこの座敷へわざわざ出て来たのだから、君も拙者の問いに答えてもらいたい、相見互いじゃ」
「粕理窟を言う場合でないぞ、二言と盗賊呼ばわりをなさば、それこそ容赦はない。そのほかに聞きたいとは何だ」
「うむ、右の菱屋の――待て、盗賊の件ではない、菱屋太兵衛の女房お梅と申すものの行方を、もしや君が知ってはおらんか」
「菱屋の女房がどうしたと?」
「行方知れずになった」
「それが、どうした」
「その行方を、もし君が知っておらんかと――」
「何を知るものか」
井村は、いで振り捨てるように首を振る。
「主人の太兵衛が申すには、取調べの筋があって南部屋敷へ二度まで呼ばれて、二度目から今以て帰らんと言う、不思議ではないか」