Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「お客様、その刀もお買い下さいますか」

「買おう、売ってもらいましょう」

「饅頭の方が八十文いただきます、刀はちと価が張ります」

「いくらで売る」

「はい、五両、ちとお高うございますが、仕込みが安くございませんから、へえ」

七兵衛は、黙って五両と一分をそこへ抛り出して、その刀を抱えてこの店を飛び出しました。

長谷寺の一の鳥居。机竜之助はそこへ立ち止まって、

「これこれ、巡礼衆」

「はい、私どもに御用でございますか」

「ちと、物をたずねたいが、あの長谷の観音の籠堂と申すのは、誰が行っても差支えないか」

「ええええ、差支えのある段ではございませぬ、人の世で見放されたものをも、お拾いなさるのが観音様の御利益でござります」

「左様か、忝けない」

僻んで取れば、この巡礼の返答ぶりも癪にさわる。おれの今日の運命は自ら求めたもので、おれは落魄れても気儘の道を歩いているのだ、まだ神仏におすがり申して後生願うような心は起さぬ。竜之助の心には、充分の我慢が根を張っているけれども、差向き今の身に宿を貸してくれるところは、神社仏閣の廂の下のほかにはありそうもない。それで、いま通りかかる巡礼に長谷の観音の籠堂を聞いてみたのであります。