Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
けれどもこれ以来、忘れられぬ恨みを懐いたのは投げられた方の人であります。
泥まみれになって自分の家の井戸側へ馳せつけたのは、かの藍玉屋の金蔵で、ハッハッと息をつきながら、
「口惜しい! 覚えてやがれ、御陣屋の浪人者!」
吊り上げては無性に頭から水を浴びて泥を洗い落して、
「金蔵ではないか、何だ、ざぶざぶと水を被って」
親爺が不審がるのを返事もせずに居間へ飛び込んで、
「早く着替を出せ、寝巻でよいわ、エエ、床を展べろ、早く」
さんざんに下女を叱り飛ばして、寝床へもぐって寝込んでしまいました。
この藍玉屋は相当の資産家であるから、その一人息子である金蔵が、まさか盗みをするために人の垣根を攀じたわけでないことはわかっています。竜之助のために蛙を叩きつけられたような目に会い、幸い泥田であったとはいえ、手練の人に如法に投げられたのですから体の当りが手強い。
痛みと、怒りと、口惜しさで、その夜中から金蔵は歯噛みをなして唸り立てます。
「覚えてやがれ、このごろ来た御陣屋の痩浪人に違いない」
金蔵の親爺の金六と女房のお民とは非常な子煩悩でありました。一人子の病み出したのを気にして枕許につききり、医者よ薬よと騒いでいましたが、今ようやく寝静まった我が子の面を、三つ児の寝息でも窺うように覗きながら、