Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
金蔵はおそるおそる徳利を取って、丹後守の前へ捧げます。丹後守は、手に取り上げて見ると徳利のように見えても徳利ではありません。長さおよそ一尺ぐらい、酒ならば一升五合も入るべき黒塗り革製の弾薬入れであります。
「金蔵、これはお前のか」
「はい……」
「お前は、鉄砲を持っているか」
「いえ……人から借りました」
「借りた――飛び道具は危ないものだぞ、これはわしが預かる」
「へえ……」
「もう、あるまいな、まだこんな物が家にあるか」
「もう、ありませぬ」
「よし」
丹後守は弾薬入れを取り上げて、小言も何も言わずに行ってしまいます。
この附近では丹後守に会っては、「左様でございます」というか、「左様ではございませぬ」というか、二つの返事のほかは、あまり物を言えないことになっています。丹後守が少しも強圧を用いるわけではないが、自然そんな具合になっていました。
ああ、悪い人に悪い物を見つかった。
さすがの金蔵も、慄え上って、身を支えることもできないで、松の幹へしがみついてしまいました。
金蔵は猟師の惣太の手から、旧式の種子ヶ島を一挺、手に入れて、その弾薬は滅多な家へは置けないから、ここへ隠しに来たものです。