Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
よし山の上へ響いたとて、そこには誰も聞く人はない。
「金蔵、うまくいったな」
ゾッとするほど気味の悪い鍛冶倉は、小舎の中へ敷き込んだ熊の皮の上にあぐらをかいて、煙草を吹かしてこういう。
「親方、うまくいきました」
金蔵はまだ落着かない様子。
「まあ、暫くはここで窮命しろ」
鍛冶倉は、この辺の山の中へところどころこんな小舎をこしらえておく。そこへはいつでも十日分ほどの食料を用意しておく。
「親方、こうなってみると、俺は一刻も早くお豊をつれて里へ出たい」
「ばかなことを言うな、いま連れ出せば罠の中へ首を突っ込むようなものだ、七日辛抱しろ、そうすれば、やすやすと抜けられる」
「七日は永いなあ」
「ナニ、永いことがあるものか、手鍋さげても奥山ずまいという本文通りよ、結句、山ん中が面白可笑くていいじゃねえか」
鍛冶倉の笑いぶりは人間並みの笑いぶりではない、生塚の婆様を男にして擽ってみたような笑い方をする。金蔵はその笑い方を見て、いまさらゾッとして、
「親方、お豊は俺の女房だな」
「ふーん」
鍛冶倉は鼻のさきで笑った。金蔵は眼の色を少し変えた。
「親方、俺はお豊をつれて国越えをしてみたい、これからすぐに」