Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「朝っぱらから人声がするな」
近づいて行くにしたがって人声はますます喧しいので、
「黙って歩いたらよかんべえ、まるで喧嘩みたような、でけえ声をして」
ポクポク進んで行くと、行手に数個の人影があって、ぐるりと輪形に突っ立ち、中に一人の人を囲んで棒を持ったり杖を持ったり、そして盛んに啖呵を切って中なる人を脅迫している様子です。
「お前たちは何してるだあ」
丸山台へは悪者が出るのがあたりまえで、出ないのが不思議なくらいですから、その心得のあるものなら早く逃げのびる工夫をすべきはずですけれども、そこは馬鹿のことですから五六人の悪者の中へ、ぬっと首を突き出してしまいました。
「何だ何だ、手前は」
悪者の方がかえって驚きます。
「朝っぱらから賭博でもしてるのかと思えば、この小さい人を捉めえて小言を言っているのかい」
極めての大胆と全くの無神経とは時によって一致します。
「馬鹿だ、こいつは」
「叩きなぐっちまえ」
悪者と見えるのは、やはりこの辺を飛び廻る下級の長脇差、胡麻の蠅もやれば追剥も稼ごうという程度の連中で、今、中に取捲いて脅しているのは、これは十二三になる侍の子と覚しき風采で、道のまん中に坐り込んだまま、刀の柄に手をかけて寄らば斬らんと身構えてはいるが、見たところ疲れきって痛々しいばかりです。