Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
腕を組んでお地蔵様と首っ引きに頻りに考えていましたが、
「おおそうだ、そうだ」
にわかに両手を拍って、馬に近寄って、背中に安置した地蔵尊の木像を怖る怖る取り下ろし、それを有合せの細帯で後ろへ廻し、子供をおぶうと同じことに自分の背中へ結びつけて、
「これでよし、さあお前様、この馬へ乗っておいでなさい、なに、遠慮しなくてもいいだ、その足で歩けるもんでねえ」
少年は心から有難そうに、すすめられるままに馬上に跨がります。
与八はお地蔵様をおぶったまま、手綱を取り上げて馬を引きだす。その恰好のおかしさ。それでも当人はいっこう平気で、
「お前様はお侍様の子供のようだが、青梅はどこまでござらっしゃるかね」
朝の靄がすっかり晴れて、雲雀は高く舞い、林から畑、畑から遠く農家の屋根、それから木々の絶え間には、試合のあった御岳山あたりの山々が、いま眠りから醒めたように遥々として見え渡ります。
「和田というところへ行きます」
「和田へ……」
「和田の宇津木というところまで」
「和田の宇津木様?」
与八は歩きながら、思わず少年の面を見上げて、
「宇津木様へ……そりゃお前様の御親類でもあるのかえ」