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Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

の顔をにらむんですよ、ええ、ぼくぞっとしちゃって稼ぎにでかけるんです」

「にーっと笑って、じーっとにらむかね、へえー」

「初めっからそうなんです」

彼は郊外の大衆食堂で光子と知りあった。彼は昼のあいだ某電機会社ではたらきながら、或る私立大学の夜間部へかよってい、日曜に一度、その大衆食堂へめしを喰べにいった。お光はそこに勤めていて、多く酒を飲む客の担当であったが、或るとき彼の眼とお光の眼が合ったとたん、お光は例の唇でにーっと微笑し、眸を凝らしてじーっと彼の顔をみつめた。

「するとぼくは頭がぼーっとなっちゃって、身動きもできなくなっちゃったんです」

次にも同じようなことがあり、三度めにはお光が、めしを喰べている彼の前へ来た。燗徳利を一本と、ウィスキー・グラスを二つ、彼の前に置いて自分も腰をかけ、二つのグラスに酒を注ぐと、一つを彼に渡し一つを自分で持って、よ、ろ、し、くと云いながら、例の微笑と凝視とを、彼の内部のもっとも深いところへ、リベットを打ち込むようにしっかりと打ち込んだのであった。

「あたしがこんなところではたらいているってこと、ないしょにして下さいね、っていきなり云うんです、いきなりですよ」