Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
その夜私は、あいにく他に会合があったのでその方へまわったところ、不覚にも少々酩酊したため、狐の竹の皮包をどこかへ紛失してしまった。
まこと残念である。だが、いたしかたない。やむを得ないから、友人に試食の報告をきいて狐の風味を想像しようと考え、二、三日後数名の友人と会したのである。ところが大変だ。一人が言うに、家庭へ持ち帰ると細君の知恵で焼鳥風にやってみることとなり、肉を串にさして焜炉の炭火で焙ったところ、脂肪が焼けて濃い煙が、朦霧のように家中へ立ちこめ、そのうえ異様の臭気を発して居たたまらず、細君と子供が真っ先に屋外へ避難、続いて自分も庭へ飛びだした。君は随分ひでえものを俺に食わせたなあと、あたかも私の責任であるかのように食って掛かるのだ。
他の友人は、自分ひとりで平らげてしまうのは冥加に尽きるとあって、三、四人の親戚を呼び集め、銀狐のすき焼きをやったそうだ。ところが、親戚の人々はただ結構なお珍しいご馳走でございますなあ、と賞めるばかりでさっぱり箸をださない。不思議に思って、自分がまず肉の一切を箸につまんで口に入れた途端、胸腑に悪臭が渦まき起こり、むっと吐き気を催したとある。