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Japanische Klassiker mit Furigana

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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme

Aozora Bunko

私は、喉に唾液を嚥みながら、御手洗邸の玄関へ駆け込んだのである。このたびの羮も、往年の味に少しの変わりもない。美漿融然として舌端に蕩け、胃に降ってゆく感覚は、これを何に例えよう。これに誘われ酒の芳醇、吟々として舌根にうったえる。私は、銀色の銚釐を静かに小杯に傾けながら、夫人が語るすっぽんの割烹譚を興深く聞いた。

このすっぽんは、二、三日前、父君重松代議士が郷里豊前国柳ヶ浦から遙々携えてきたのであるという。一貫目ばかりの大きなのを一匹、四、五百匁のものを三匹、都合四匹が籠の中へ入って元気よく東京へ着いた。そのうち、一番大きい一貫目のものは、令妹二宮美代子夫人の邸で裂いたのだそうである。包丁をとったのは、美代子夫人であった。

父君重松氏の家では、代々すっぽん料理が好きであった。邸内に泉水を掘り、すっぽんを蓄えている程である。であるから、蝶子夫人は娘の時代から父君に指図されて、すっぽんの割烹に経験を積んできた。妹の美代子夫人が、これを学ばぬはずはないのである。さりながら、夫人の腕で一貫目の大すっぽんを裂き得たとは、ほんとうに敬服の外はない。

すっぽんを割烹する法は、いろいろあろうけれど東京風に、すっぽんに絹の端を咬えさせておいて、首の伸びたところをその付け根から截ち落とし、続いて甲羅を剥いでゆくのは、当たって