Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
灯篭を運び去ったのは幕府の大筒を鋳る原料にするのだと豪語したと言うし、銅の屋根を剥ぎ去ったのは、尊王方の軍費に資するのだ、と台詞を残して逃げたと言うが、これを後になって調べてみると、それは悉く幕府に捧げたのでもなく、尊王に資したものでなかった。それは当時薄祿に食うに困ったご家人や浪人が、騒乱のどさくさ紛れに寺内へ忍び込んで手近なものを担ぎ出し、古物屋へ売り飛ばしたのや、小盗の類が贋武士となってやってきたものであると分かった。
しかし、当時の、物ごとに震えてばかりいた増上寺には、その真相は分からなかった。武士と名のつくものには、腫れものに触るようにして為すがままにした。
後難を恐れた役僧達は、相談の末数日後、また別当瑞蓮寺から千五百両借りてきた。そして、これを前日の役者が携えて、土方らの宿所を訪れた。
『本日、千五百両だけ都合でき申した。きょうのところはこれで耐えて頂きたい。残る千五百両は、寺の宝物を払っての上持参する考えでご座るから、いましばしのところお待ちを願いたい』
と、申し入れた。ところが、土方らは増上寺の使者に、
『心にかけて忝けない。だが、軍費は当方において都合ができた。