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Japanische Klassiker mit Furigana

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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme

Aozora Bunko

『ですが、閣下それは無理です。選挙が明後日に迫っていては、もう何処だって演説会場を貸すところなどありません。ですから、今夜頼母木と一緒に歌舞伎座で私の推薦演説をやってください。それができんとすれば、こん夜の頼母木の推薦演説はやめてください』

『そうか。じゃが今夜の頼母木の推薦演説をやめるちうことはでけん。やむを得んから、貴公も今夜共に推薦することにしよう』

『ありがたい。うそではありませんな』

『わしは、二枚舌は使わん』

三木は、横っ飛びに自分の選挙事務所へ飛んで帰った。もう、夕暮れである。参謀の者を集めて伯爵との談判の次第を語り、直ぐ腕強の者五、六人を歌舞伎座へ送り、玄関前へ内閣総理大臣推薦の頼母木桂吉の立看板と並べて『憲政会候補者三木武吉』の立看板を立てさせてしまった。これを見て頼母木派では、びっくりしたり憤慨したりした。両派の、十数人のものがこの立看板を取り囲んで、

『ぶっくじけっ!』

『命にかけても手はふれさせん』

などと、大した騒動がはじまった。

一方、三木は早稲田の伯爵邸から大隈の自動車に便乗して、総理大臣官邸へ行き、頼母木派に大隈を奪い去られないよう張り番している。