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Japanische Klassiker mit Furigana

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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme

Aozora Bunko

小さい伝馬舟に絹糸ですいた四つ手網を乗せて行って白魚を掬ったのである。

この白魚を鰻の筏焼きの串にさして、かげ干しをこしらえ酒の肴に珍重した。流れの面に、落ちては輪を描く霙の白妙に、見紛う色のみやこ鳥をながめながら、透きとおるほどの白魚を箸につまんだ趣は、どんなに風流なことであったろう。

わたしは今戸の寮の、昔の豪華譚に憧れて、吉原や小塚っ原へ遊んでは、翌朝千住から船で下って、今戸のみやこ鳥のいる風景を眺めた。

こうして、私は救うことのできない遊蕩に身を持ち崩した。故郷の父から送ってくる金など、もちろん足りようはずがない。友達から先輩にいたるまで、手の及ぶかぎり迷惑をかけた。果ては誰も顧みるものがなくなった。

悲しい『夜逃げ』となったのである。

五

明治四十五年夏、夜逃げの旅から東京へ帰ってきて以来、このみやこ鳥のことは忘れていた。

ところが、はからずもこの正月に、両国橋の上から、みやこ鳥に再会した。いまのみやこ鳥は荒川、隅田川、大川尻かけて柳橋の龜清の石垣にいるだけであるそうだ。私は、ここでみやこ鳥と再会してからというもの、二、三日おきには両国橋の上へ佇んだ。