Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
性質は風采にも似ず明るい方で、世間から人気があるのだ。
そして、彼の友人たちは、彼が醜男にも拘わらず上背の高い美しい妻君を持っているのを、日ごろ羨ましがった。それが、二、三年前ぽっくり死んだのである。
私は、東京へ帰ると二、三日後、山岡を飯食いに誘い出して、
『不自由もあるまいが、独り者というのは兎角その不自由勝ちのもので――』と、水を向けてみた。
『大したこともないよ――だがね、この頃は夕飯を出先で食うことにしているんだ。家へ帰ったら直ぐ床の中へもぐり込めばいいんだ』
『それでは、子供達が寂しかろうがな』
『あいつらも馴れたよ』
『それでは、子供の教育にならん。一人しかない親だもの、夕飯どきには必ず帰っていないと可哀想だ』
『それもそうだな』
と、山岡は微笑した。そこで私は、
『ところでどうだ――茶飲み友達というのは欲しくはないのかい』
『僕はまだ老いぼれじゃないのだよ、茶飲み友達は惨酷だね。だがね、格好なのがあれば、邪魔にもならないだろうし、子供達も家の中が賑やかになるのを喜ぶかも知れない。何か、似合いの候補者でもあるのか』
と、山岡は朗らかに言うのである。