Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
狸もその仲間にできまいか。もし狸肉がなにかの代用食になるとすれば、彼氏もまた時節柄バスに乗り込めたことになる。日ごろ睾嚢八畳敷きを誇り大風呂敷をひろげて人を誑かしていた狸公も、いささか国家のために尽くすところの一役を与えられれば幸甚であると、故郷の村からつい二、三日前、手紙があったばかりだ。
ところで、僕ら数名が試食した上、これなら食えると感じたなら、一番この際、狸公を世の中へ出してやろうではないか、と友人は熱心に説明するのであった。
私も、一応なるほどと思ったのである。
四
私が友人の説明に対する考えに、一応という言葉をつけたのには一応理由があるからである。それは、さる頃狐の肉で失敗しているからだ。
初冬の真昼、友人数名と共に銀座の舗道を歩いた。すると、前方から有閑婦人が頗る高貴な銀狐の毛皮を首にまきつけ、しゃなりしゃなりと漫歩してきた。婦人は素敵な美人であったけれどそれよりも私ら仲間の注目をひいたのは、西欧の王さまたちが即位のとき身に飾る黒貂の毛皮に白金の糸を織り込んだような銀狐の皮であったのである。有閑婦人が行き過ぎてから、それの後ろ姿を見返り感慨深そうに、皮でさえも一枚千円もするのであるから、銀狐の肉は素晴らしくおいしいものであろうな、と友人が言うのであった。