Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
「どうした? 紀久ちゃん! どうした?」
正勝は狼狽しながら屈み込んだ。
「なんでもないの」
「顔色が悪い」
「なんでもないのよ」
紀久子はそう言って、すぐ起き上がった。
「しかし、ばかに顔色が悪い。帰ろう」
「なんでもないのだけど……」
「どこが悪いんだ。真っ青だよ。帰ろう」
正勝は狼狽しながら紀久子の肩に手をかけて、静かにそこを出ていった。
4
奥の洋室まで、正勝は紀久子について入っていった。
「あらっ!」
紀久子は驚きの声を上げて戸口に立った。
ストーブが赤々と燃えていて、その傍に敬二郎がばったりと倒れていた。胸のところから血が流れて、ストーブと熊の皮の敷物との間の敷板が真っ赤な血溜りになっていた。そして、その手には黒いピストルを固く握っていた。
「死んでいるじゃないか? 自殺をしたんだな? 馬鹿なっ!」
正勝はそう言いながら、ストーブのほうへ寄っていった。ストーブの傍の小卓の上には、何か手紙のようなものが書き残されてあった。紀久子も黙ってそこへ寄っていった。
「書置きだな?」
紀久子は黙って、ただその胸を顫わせながら正勝と一緒にその手紙を覗き込んだ。