Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
第二章
「正勝ちゃん! では、わたしの罪を庇ってくれるの?」
「紀久ちゃんにはおれの気持ちが、おれが紀久ちゃんをどんなに想っていたかってこと、分からないのかい?」
「分かってよ。ご免なさいね、いままでのこと許してね」
正勝はもうなにも言わなかった。彼は黙って馬車から飛び降りた。そして、すぐ妹の死体を抱き上げたかと思うと、それを崖際へ持っていって、谷底を目がけて投げ込んだ。そして、蔦代の死体は岩角に突き当たり突き当たり、深い谷底へと雑草の間を転がり落ちていった。どこかでふた声三声、高く鷹が鳴いた。
第二章
1
森谷牧場主の邸宅は、高原放牧場のほとんど中央の地点にあった。緩やかな起伏がひと渡り波を打って過ぎた高原地帯の波形の低い丘を背にして、なおその下の放牧場をひと目に見下ろせる中階段の位置に、土手で取り囲んだ屋敷を構えているのだった。その周囲には春楡や山毛欅などの巨大な樹木が自然のままに伐り残されていて、ひと棟の白壁の建物が樹木の間に見え隠れていた。そして、その屋敷の前から二間幅(約三・六メートル)の新道路が三、四町(約三三七~四三六メートル)の間を、放牧地の草原を一直線に割って走っていた。