Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
彼女は一時間ぐらいは我慢して椅子にじっと腰を下ろしていた。しかし、熱を出している赤ん坊のことを考えると、全身がぞくぞくしてきた。彼女は動物園の熊のように、部屋の中をぐるぐると歩き回った。彼女はもうたまらなくなってきた。彼女はドアというドアに突き当たってみた。いずれも固く閉まっていた。彼女はどうしても出ようと考え、必死にドアと闘った。そうしているうちに、彼女は北側の窓の上部には金網の張ってないのを見つけた。彼女はテーブルに乗って、そのガラスを一枚叩き割った。しかしそこからは首しか出なかった。首を出して街上を見おろすと、偶然にも彼女の夫が通っていた。彼女は夫を大声に何度も呼んだ。夫は上を見上げて手を振った。彼女は夫が助けに来るのを信じて部屋の中をぐるぐる歩き回っていた。間もなくノックの音がして、夫が入ってきた。彼女は感激のあまり言葉が出なかった。夫も黙っていた。二人は抱擁したままベッドに打ち倒れてしまったのだった。――夢ではない。彼女ははっきりと記憶している。
彼女はもう一度部屋の中を見回した。紫の笠をしたスタンド・ランプが目を醒ましていて、薄紫の淡い光が泳ぎ回っているだけだった。