Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
「結婚をする段になりゃ費用はむろん、全部わしのほうで出してあげるがね。……もっとも、近ごろの新しい女は堅苦しい女房よりも気楽な妾宅暮らしのほうを望んでいるそうだが……」
自動車は江東ホテルの玄関へ横に着いた。
「すぐだから……」
朝田は自動車を降りて受付へ行った。そして、ふた言三言の立ち話をして戻ってきた。
「ちょっと、降りていらっしゃい。すぐなそうだけれど、ここに待っていてもつまんないから、お茶でも飲んで……」
「いいえ。わたしはここで失礼させていただきます」
「いや、同じことだから、みっともないから」
彼女は仕方なく自動車を降りた。そして、駆り立てられるようにしてホテルの階段を上った。
彼女が泥のように疲労し切った眠りから頭を擡げたとき、彼女の夫はいつの間にかそこにはいなかった。彼女はたった一人で、ダブル・ベッドの上に犬のように丸くなって寝ていたのだった。彼女は驚いて辺りを見回した。
しかし、さきほどの出来事は決して夢ではなかったのだ。彼女は何もかもはっきりと記憶している。――最初、朝田が彼女をこの部屋に待たしておいたまま、いつまで経っても戻ってこなかった。