Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

4

紀久子は厩舎の前に立って、じっと放牧場のほうを見ていた。

秘かに部屋を出て厩舎へ来てみると、そこには三人の牧夫が馬に鞍を置いていて、正勝にだけ秘密の話をすることはできなかったからである。紀久子はそこに立っていて、機会の来るのを待っているより仕方がなかった。彼女はいつまでも放牧場のほうを見ていた。

紀久子の心のうちはそうしているうちにも、決して平和ではなかった。

(あんな風にしているうちに、あの人はほかの人たちへあのことを話さないかしら?)

紀久子は自分の胸に何匹かの蝮がいるような気さえした。彼女は、正勝が早く厩舎へ帰ってくることを願っていた。

(蔦代を捜しに行くという口実であの人がどこかへ行ってしまったら、わたしはどんなにかほっとするのに……)

紀久子はそう考えて、正勝がこの牧場から姿を消すというのならどんなことでもしてやりたかった。そして、彼女は正勝が早く厩舎へ帰ってくるのを待った。

(この金さえ渡せば、あの人はすぐもうこの牧場からいなくなるのだわ)

やがて三頭の馬は一頭の新馬を拉して、厩舎を目指して帰ってきた。紀久子は正勝の花房が真っ先に帰ってくることを願った。