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Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

紀久子は叫ぼうとして、また叫ぶことができなくなっていた。正勝は真っ青な顔で紀久子を覗き込んだ。その手には黒く血がついているだけで、刃物は持っていなかった。

「紀久ちゃん! 驚くこたあねえ!」

正勝は顫える声で言った。顫えるのを固く歯で噛み締めているような声で、彼は鋭く言ったのだ。

「紀久ちゃんの秘密を、秘密を防ぐためなんだ」

正勝はそう言った。紀久子は唇を動かして何か言おうとしたが、やはり声がどうしても出なかった。

「紀久ちゃんが、こ、こ、この証人になればいいんだ」

「――しょう……」

紀久子は言葉にはならない声を口にしたが、そのあとがどうしても続かなかった。

「驚くことはねえ!」

「あっ! あっ!……」

「明日の朝、大騒ぎになるに相違ねえから、そ、そ、その時にゃあ紀久ちゃんがいまのことを、はっきりと見た! って言えば、そ、そ、そんでいいんだ」

正勝はさすがに言葉が整わなかった。

「紀久ちゃん! おれの、おれの言ってるの分かるか?」

「え!」

紀久子はじっと正勝の顔を見詰めながら言った。

「こ、こ、これは、しかし、おれがやったことにしてはいけねえんだ。紀久ちゃん! 分かる?」