Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
「いやいや、本来は貰うべきではないが、ご一同のおこころざし、身に沁みてうれしい余り、一封だけは頂戴したのだ。官の年俸もいただいている身、なに不自由な身でもござらん。あとはお持ち帰りあって、よろしく、おつたえ願いたい」
「それじゃあ、てまえが困ります。ご恩報じの使いとして来て」
「でも、おこころざしは、これで充分いただいたのだから」
「ところが、山寨の内も、王倫が頭だった頃とちがって、掟きびしく、いやしくも、使命をうけて、使いの役を果たせないなンて奴は、仲間の内に、面をおいてはいられません」
「では私から、ご一同へ宛てて、一札、返書をしたためましょう。それならお顔も立とうし、私の心もとどく」
さっそく懐中硯を出して、一文を書いて封じ、なおお互いの消息を、なにくれとなく語りながら、彼も劉唐も、思わずぼうと頬も染まるほど数角の酒をかたむけ合った。
「じゃあ、お名残はつきませんが、山寨でも一同待っておりましょうから、これでお暇を」
二人は、酒店の横の露地を出た。――ちょうど初夏ごろ。宵の月がまんまると、町の屋根の上に出ていた。
「ここからすぐ、山寨へ向けて、お帰りか」